投資信託の選び方

 

新聞の投資信託欄には無数の投資信託があり、経済誌などでも詳しい説明を織り交ぜて紹介されていますが、どれも素晴しい商品に見えてなかなか絞り込めない、そのようなご経験はないでしょうか。

過去の運用実績について

一般的に、投資信託を評価する時によく使われる方法が、過去の運用実績のみを判断材料とするものです。つまり、これまでの運用実績が良かった投資信託の評価は高く、逆にあまり運用の振るわなかったものの評価は低くしたくなる傾向が多いのではないかと思います。確かに、過去の運用実績が良かった投資信託は、将来も優れた成績を残してくれそうな気がします。しかし、実際はどうでしょうか。

図表1は、グローバル株式運用において、ラッセル・インベストメントで継続的なモニタリングが可能な運用会社330社のうち、2016年の運用実績が上位25%に入った82社の、その後の運用実績の推移を追ったものです。この図表が示す通り、翌年も上位25%に入ったのは12社、そして3年後の2019年まで毎年上位25%に入り続けた運用会社はわずか2社でした。

図表1 過去に運用実績が良かった運用会社が、将来も実績が良いとは限りません

2019年12月末時点
上記は過去の実績であり、将来の投資収益等の示唆あるいは保証をするものではなく、またその結果の確実性を表明するものではありません。INTWORLDラッセル・インベストメントのアクティブ・グローバル株式ユニバースにある330社の2016年のリターンおよび翌年以降のリターン。
出所:INTWORLDラッセル・インベストメント

このことが示唆しているのは、過去の運用実績が良かったからといって、将来も運用実績が良いとは限らないと言う資産運用の真実です。

投資信託の選び方  

個人投資家の方々が投資信託を選ぶ際に陥りがちな落とし穴には様々なことが考えられます。例えば、広告でもよく見る有名な大手の運用会社であるからとか、人気のある、いわゆる売れ筋ランキングの上位に位置しているといったことだけで投資信託を選んでしまうことも少なくないのではないでしょうか。しかし、それらは運用の巧拙と直接関係はありません。

それでは、将来も実績を上げる運用会社を見極めるためのポイントは何かと言うことですが、ラッセル・インベストメントは50年以上に亘る運用会社調査の経験に基づき、優れた運用実績を実現する可能性が高い運用会社を見つけることは可能であると考えています。そしてそのためには、実際に運用を行っている運用担当チームと直接面談を行い、運用担当者が豊富な経験と資産運用に適した資質を持ち、運用哲学やプロセスがポートフォリオに反映されているか、運用チームを支える組織は安定しているのかなど様々な側面をチェックし、将来も良好な運用実績を残す可能性の高さを総合的に判断することが必要であると考えています。

優れた投資信託を選ぶには、過去の運用実績や保有銘柄などのデータに対する分析は必要で、それはもちろん大事な要素のひとつです。しかし、過去の運用実績が優れている場合にはデータのみから判断するのではなく、それが単なるラック(運)なのか、それとも高度な運用スキルの結果なのか、すなわち、一貫性のある運用哲学と運用プロセスに基づいた過去実績とも整合的なもので、今後も再現可能性が高いと考えられるものかどうかなど、多様な角度から評価を行うことが大切です。

そしてこうした運用評価は一回で終えられるものではありません。運用担当者が人事異動や退職で交代を余儀なくされることもあれば、同じ担当者であっても他の業務に追われ、運用に時間が割けなくなる場合もあるからです。近年では運用会社の合従連衡も少なくなく、こうしたことも投資信託の運用体制に大きな影響を及ぼす傾向があります。つまり、一度良いと判断できた投資信託であっても、時間の経過とともにその内容に変化はないのか、定期的に評価し直す必要があると考えられます。